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刀祢 いくみさんの部屋 | 2月活動報告

視察の旅~注目されている町・徳島県神山町~ 地域の将来をかたちづくる思い

先日、四国・徳島県の山間にある町、神山町を視察する旅に参加してきました。
いろいろなメディアに取り上げられ、注目されている町であることはなんとなく認識していましたが、恥ずかしながら実際にどのようなことをしているのか知らぬままに訪れました。

神山は人口6000人あまりの山の中にある町で、立地や風景は東白川村とよく似た雰囲気です。
他の多くの地方町村と状況違わず、人口流出が進み“過疎問題”に直面していたところ、独自の方針を打ち出し町史上初の人口社会増を実現したことで、いまや方々から視察が絶えない町です。

この町を支えてきたのは農業(梅・すだち・茶など)ですが、その本丸に焦点を当て過疎問題に取り組むのではなく、文化・芸術に着目し町へ人を呼び込む道を選んだところが注目される所以のひとつです。
実際に行動を起こしたのは、町から委任された特定非営利活動法人のグリーンバレーという団体ですが、もちろんその組織を構成するのは町に住む人たちで、ふるさとを思う気持ちは町を代表しているといえます。

彼らが過疎化の進む町において一番の問題としたのは、「雇用がない。仕事がない。」という点です。
その状況を変えていくために取ったのが、神山町という場所の価値を高めること。
なんだか抽象的に聞こえますが、豊かな自然環境を売りとして海外の芸術家たちに創作活動を行ってもらい、「作品を制作するなら神山だよね」という評判を広めていくことを手始めに、神山町を
PRしていったそうです。
自然の中での創作に魅力を感じるのは芸術家だけにとどまらず、東京のど真ん中を拠点とする
IT企業や映像会社をも惹きつけることになりました。
それには、町内の情報通信網が整備されていたことに拠るところが大きいそうです。
なんでも、山の中にありながらインターネット回線が速く、パソコンを使っての仕事にはうってつけの環境であるそうです。

外からの企業を受け入れることで、働く場所がないから住めないという悩みがひとつ解決され、もともとその企業で働く人が移住してくる、もしくは地元民の雇用が生まれるという好転につながっています。
この町には高校が一校ありますが、進学・就職に伴い町を出て行かざるを得ない状況は東白川と大差ありません。
将来子供たちが町へ戻ってきて、働きたいと思える職場の選択肢が増えつつあるのは希望です。
町にやって来た企業が新たに事務所を構えたかといえばそうではなく、過疎地の問題のひとつである空き家対策に一手を打つという側面も持ち合わせています。
見学した映像の会社は、古民家を買い取り大々的に改装、昔の住まいのよさを活かしつつ、働き心地を追求した職場を実現しています。
情報を発信する立場の人たちが移り住んだことが呼び水となり、土地に魅力を感じお店を開く人が集まってくるようになったそうです。
食を扱うレストラン・パン屋などができ、そこで供される食材の需要が生まれたことで、これまで町を支えてきたにもかかわらず、停滞ぎみの農業に光が差し込んでいるようです。
切り口は農業とは別のところにありながら、まわりまわって影響がもたらされる…理想のかたちのひとつといえるのではないでしょうか。

「いくら視察したって、全く同じ条件ではないのだし、そうそう変わるものではない」と視察というものに否定的な意見もあります。
往々にして、視察で見られるものはうまくいっている部分で、負の部分や抱えている問題は隠れているものです。
神山町を光り輝く、一歩先をいく町として報告してはいるものの、やはり全てがうまくいっているわけではないという思いもあります。
どちらが良いとか、進んでいるとか、自分の住む村・町と比較するのではなく、こういう道もあるというくらいに捉える姿勢が必要だと思います。
それでも視察に意義があると思うのは、他の土地を見ることで自分たちの土地について、そこに住む人について、よりよく知る絶好の機会だと考えるからです。

今回視察に参加した人たちは、東白川に住んでいるということだけが共通項で、職場も、年齢も、興味関心も様々です。
けれど、一緒に視察をして感じ、考える時間を共有できたのはとても意義深いと思っています。
以下、町づくりを先導してきたNPO代表の方が送ってくれたメッセージです。

「何か新しいことを進めていく時、同じ体験をして“思い”を共有している人が何人かいるというところが肝となる」
人口が減っていくこと、産業にパワーがなくなっていくことなどなど、それらの問題を解決していく使命を背負っているのは行政だけではないという気がします。
その地に住むひとりひとりの“思い”にこそ、変えていくための大きな力が秘められていると強く感じています。
 

一番大事なのは…。 東白川村をどんな村にしていきたいか
この問いかけについて、銘々が思い巡らせ語り合うことではないでしょうか。
そんな場が増えていくといいな、と思う今日この頃です。

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