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12月の行事

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お歳暮

 親しい人や世話になった人に贈り物をもってする年末の感謝をこめたあいさつは欠くことができません。「お歳暮」といいます。
 わたしたち日本人は、12月の声を聞くとなんとなく気忙しくなってきます。近年は、歳末大売出しで活気をそえる商店街などのにぎやかさが、その気分をさらに高めています。昔から日本人には、年末になったら借金を返済し、借りた物は返し、1年間のすべてに結末をつけるという考え方が根強く存在します。
 東白川村にも盆暮(ぼんくれ)勘定といって、盆と暮に商店などの借り代金を返済する習慣が残っています。また、田や畑を借りている人が地主に使用料、すなわち小作料を支払うのもこの時期です。昔からの「年貢」という呼び名がまだ生きており、これを支払うことも「納める」といいます。年貢を納めるときには「粗品」といって、食品や日用品などを添えて贈ります。これもお歳暮の1種でしょう。
 お歳暮には、よく鮭(サケ)が用いられます。寛政11年(1799)に徳川幕府が北海道を直接の領地としたとき、函館奉行の戸川筑前守が、道産のサケを「塩引き」にして将軍に献上したところ非常によろこばれ、以来毎年サケを贈物とする習慣となりました。これがだんだん一般大衆の間にも広まって、いつしか歳暮用品となったのだそうです。
 東白川村では、昭和初期ごろまでは、魚に白米一升とか、リンゴやミカン、串(くし)柿などを贈りましたが、昨今は、多く、荒巻(あらまき)など新年に用いる食品を贈るようになりました。儀礼的には日用品や酒、調味料のセットなども多いようです。
 贈る時期は、もとは、12月27から28日ごろが普通で、贈る者が自ら持参しました。最近は、デパートや専門店などに配達を依頼したり、小包便で送ったりするので、その時期もかなり早くなりました。このしきたりも年賀状と同様に形式化して、儀礼に過ぎる感なしとしません。
 他の地方では、「初歳暮」といって、新たに縁組した家から嫁の実家へ餅や魚を贈るところがあります。また、嫁や婿が食べ物を調理して親里へ持っていくところもあり、「親の膳(ぜん)」などと呼びます。
 もともとお歳暮はお中元とともに祖霊の祭りの供え物だったのですが、今はその影もありません。

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